「勉強しなきゃいけないのに、やる気が出ない…」そんな気持ちは、大人でも子どもでも経験があるのではないでしょうか。
特に小学生のうちは集中力が続かず、勉強についていけないと感じることも。すると「どうせできない」と思い込み、ますます勉強のやる気を出すのが難しくなってしまいます。
でも、やる気を引き出す工夫は意外とシンプル。この記事では、親子でできる小さな工夫や環境づくりを通して、前向きに勉強に向かえるヒントをご紹介します。
勉強についていけない原因は?やる気を失う子どもに見られる共通点
「勉強についていけない」と感じている子どもには、集中力や理解力の問題だけでなく、言い出せない悩みや苦手意識が隠れていることもあります。
やる気がないように見えても、実は困っているサインかもしれません。まずは子どもがつまずいている理由を知ることが大切です。
わからないことを聞けない・言い出せない
学校の授業や宿題についていけないと感じる子が出てきます。
小学生の子どもたちは、「わからない」という気持ちをうまく伝えるのが難しいものです。特に低学年のうちは、まだ集中力も長く続かず、「わからない」「むずかしい」と感じるだけでやる気がしぼんでしまうことも少なくありません。
そうやって少しずつ理解が追いつかなくなると、「勉強についていけない」という気持ちが積み重なっていきます。そして次第に、「どうせできない」「もうやりたくない」とやる気をなくしてしまうのです。
本人は一生懸命やろうとしているのに、どうしても結果が出ない…。そんなときに「ちゃんとしなさい」と言われると、ますます口を閉ざしてしまうこともあります。
集中力が続かない・長時間座っていられない
「集中できない」「机に向かっていられない」というのも、勉強についていけない子どもによく見られる特徴です。これは怠けているのではなく、まだ発達段階にある子どもにとってはよくあること。
長時間同じ姿勢でいるだけで疲れてしまったり、頭を使いすぎて気が散ったり…。中には姿勢が悪くなって体に負担がかかっている子もいます。
集中力が切れたまま勉強を続けても、頭には入ってきません。やる気が続かない原因は、意外とこうした「体の状態」や「時間の区切り方」にあるのかもしれません。
「やってもムダ」という気持ちがある
「どうせやってもできないし…」
そんなふうに感じている子は、自分から進んで勉強しようとはしなくなってしまいます。これは過去にうまくいかなかった経験が強く残っている場合によく見られます。
たとえば、テストで思うような点が取れなかった、時間をかけたのに先生に注意された、などの小さな失敗が積み重なって、やる気を奪っていくのです。
一度「自分は勉強についていけないんだ」と思い込んでしまうと、それをくつがえすのは簡単ではありません。だからこそ、親が「やればできる!」ではなく、「がんばったこと」をしっかり認めてあげることが大切なのです。
簡単!勉強のやる気を出す方法
勉強しなきゃいけないのに、「面倒くさい」「どうせできない」と思い始めると、なかなかやる気は出てきません。そんなときは、気軽にできるちょっとした工夫が効果的です。
楽しさや達成感を取り入れることで、少しずつ前向きな気持ちが生まれ、勉強についていけない状態から抜け出すきっかけにもなります。
勉強を始める前に5分だけ体を動かす
やる気が出ないときは、まず体を動かすことで脳のスイッチを入れるのがおすすめです。難しいことをする必要はありません。
5分だけストレッチをしたり、ジャンプをしたり、軽く体をほぐすだけでOK。体を動かすと血流がよくなり、脳にも酸素が行きわたりやすくなります。その結果、気分も少しスッキリして、「よし、やってみようかな」という気持ちになりやすくなるのです。
特に低学年のうちは、座っている時間が長いだけでもストレスになってしまいます。勉強を始める前に体を動かす“ちょっとした準備体操”を習慣にしてみると、勉強への取りかかりがぐっと楽になりますよ。
「できた!」が見えるごほうびシステム
やる気を引き出すには、「達成感」を積み重ねるのが一番です。たとえば、問題が解けたらシールを1枚貼る、時間通りに終わったらスタンプを押す、などの見えるごほうびを用意してみましょう。
子どもにとって「目に見える成果」は大きなモチベーションになります。何をどれだけやったかが自分でも確認できると、「今日はここまでがんばった!」という自信につながります。
勉強についていけないと感じている子ほど、「ちゃんとできた」と感じる経験を増やしてあげることが大切です。最初は簡単な問題からでもかまいません。「できる」体験を積み重ねて、自信とやる気を育てていきましょう。
タイマー学習で集中力アップ
やる気が出ないときは、長時間の勉強を目指さなくてOK。「まず5分だけ」「タイマーが鳴るまで」など、時間を区切って取り組むだけでも効果があります。
キッチンタイマーやスマホのアラーム機能を使って、1回の勉強時間を短く設定してあげると、「今だけがんばればいい」と思えるので取りかかりやすくなります。
特に、勉強についていけないと感じている子は、長時間集中するのが苦手なことが多いので、「短く区切る」ことで無理なく集中できるようになります。タイマー学習は、がんばりすぎず、少しずつやる気を育てるための工夫としてぴったりです。
上手く気持ちを切り替えるコツ
子どもは気持ちの切り替えが苦手なことも多く、集中力が途切れると勉強に戻れなくなってしまうことがあります。
そんなときは、遊びやリラックスをうまく取り入れて、気持ちをリセットするのがおすすめです。机まわりの環境を整えることも、集中しやすさにつながります。
嫌いな教科は「小さな区切り」で対応
苦手な教科に向き合うとき、「全然わからない」「やりたくない」と感じて、最初から手が止まってしまう子は少なくありません。
特に、すでに勉強についていけないと感じている子どもにとっては、1ページ丸ごとの宿題は大きな壁に見えるものです。
そんなときは、問題を1問ずつ、または数問ごとに小さく区切って取り組ませてみましょう。「まずはここまで」と短く区切るだけでも、気持ちの負担がぐっと軽くなります。
全部を完璧にやろうとするのではなく、「とりあえずここだけやってみよう」というスタンスで進めると、少しずつやる気が戻ってくることがあります。
勉強と遊びを交互にやってみよう
「ずっと勉強してなさい!」と言われると、大人でも気が重くなるものですよね。子どもも同じで、ずっと机に向かいっぱなしでは集中が続きません。
そこでおすすめなのが、「勉強→遊び→勉強」のリズムを作ることです。
たとえば「プリント1枚やったら5分だけブロック遊び」「漢字を3問書いたら1曲だけダンス」など、小さなごほうびタイムをはさみながら進めていくと、気持ちがうまく切り替わります。
遊びと勉強をうまく交互に組み合わせることで、「もうちょっとだけやってみようかな」という気持ちになりやすくなります。
気持ちのリセットに音楽やおやつも◎
どうしてもやる気が出ないときは、いったん勉強から離れて気持ちをリセットすることも大切です。
好きな音楽を1曲だけ聴いてから机に向かう、あたたかい飲み物や小さなおやつでホッと一息つく、そんな時間があるだけでも気分は変わります。
気持ちが重いままでは、なかなか勉強に集中できません。やる気が出ないときには「ととのえる時間」も必要なんだと、親がゆとりを持って見守る姿勢が、子どもに安心感を与えてくれます。
勉強についていけない状態を少しでも前向きに変えていくために、心の余裕をつくることが、やる気の第一歩になることも多いのです。
机まわりの環境を整えるだけでも集中力が変わる
子どもが「なんとなくやる気が出ない」と感じているとき、実は机のまわりの環境が集中を妨げていることもあります。おもちゃや漫画が目に入る場所にあると、そちらに気が向いてしまったり、「勉強モード」に切り替えるのが難しくなったりします。
まずは、机の上にあるものを一度リセットしてみましょう。
鉛筆、消しゴム、教科書とノート、タイマーなど、「今使うもの」だけを並べるだけでも、気持ちの切り替えがしやすくなります。
また、椅子の高さが合っていなかったり、部屋が暗すぎたりするのも集中を妨げる原因です。少しイスを変えてみたり、照明を明るくしたりするだけで、驚くほど落ち着いて取り組めることもあります。
勉強についていけない状態が続いている子には、「勉強に集中できる環境」を整えてあげることも、やる気を引き出す第一歩です。
自分の勉強のやり方を見つけよう
勉強には「こうしなきゃいけない」という決まりはありません。読む・書く・見る・話すなど、子どもによって理解しやすい方法はさまざまです。
勉強についていけないと感じている子には、まず「自分に合った方法を試していいんだよ」と伝えることから始めてみましょう。親子で一緒に、どんなやり方が楽しくできるかを探す時間も大切です。自分に合ったスタイルを見つけることは、やる気を引き出す大きな第一歩になります。
音読・書く・見る…得意な方法を試してみる
子どもによって、覚えやすい勉強の方法はさまざまです。声に出して読むのが得意な子、書きながら覚えるほうが理解しやすい子、イラストや図を使って整理するのが好きな子など、それぞれのスタイルがあります。
「どうしてこの子は覚えられないんだろう?」と思ったときは、もしかするとその子に合わないやり方で勉強しているだけかもしれません。勉強についていけないと感じている子ほど、自分に合ったやり方に出会えると、ぐんと理解が進むようになります。
まずは、音読してみる・書いてまとめる・図にしてみるなど、いろいろ試しながら、「これならやれそう」と感じる方法を一緒に見つけてみましょう。
親子で一緒に「どれが一番集中できるか」確認
子どもが一人で「どのやり方が合ってるか」を判断するのは難しいこともあります。そんなときは、親がそばで見守りながら、「どのときが一番集中できてたかな?」「どの方法がやりやすかった?」と声をかけてみてください。
無理に答えを出させる必要はありません。
「これだとやりやすいかもね」「こっちの方が楽しかったかな」と一緒に考える時間が、子どもにとって安心感につながります。
勉強についていけないという悩みも、「自分に合ったやり方ならやれるかもしれない」という小さな希望が見えれば、少しずつ前向きになれるものです。子ども自身が「勉強って、工夫すればわかるようになるんだ」と感じられるような体験を積み重ねていきましょう。
さいごに
子どもが勉強についていけないと感じたとき、まずは「なぜできないのか」に目を向けてあげることが大切です。
やる気のなさは、環境や習慣、学び方の問題からくることが多く、気づかないうちに子どもは「どうせムリ」と自信をなくしているかもしれません。
親ができることは、できない原因を探り、安心して学べる環境を整え、リフレッシュや学び方の工夫で背中を押してあげること。
「やらせる」のではなく、「一緒に進む」という姿勢が、子どもにとって何よりの励ましになるはずです。