節分といえば「鬼は外、福は内!」と豆をまき、恵方巻きを食べるおなじみの行事。でも、なぜ豆をまくのか?どの時間帯に行うのが正しいのか?恵方巻きはどう食べるのが縁起が良いのか?意外と知られていないことも多いですよね。
この記事では、節分の豆まきの由来や正しい手順、行う時間帯の意味まで、分かりやすく丁寧に解説します。さらに、節分とセットで楽しみたい恵方巻きの由来や食べ方もくわしく紹介。
家族みんなで行う節分を、もっと楽しく、もっと縁起よく迎えられるようになる内容です。今年の節分をしっかり楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。
節分の豆まきの由来と意味
節分の豆まきには、厄払いと福を呼び込む深い意味が込められています。
古代の風習から始まったこの行事では、豆が邪気を払い、幸福を招く象徴として使われてきました。その由来や歴史を知ることで、節分をより意義深く楽しむことができます。
豆まきの歴史と「鬼」を追い払う風習の始まり
節分の豆まきのルーツは、古代中国の「追儺(ついな)」と呼ばれる悪霊払いの行事が日本に伝わり、宮中行事として行われていたことが始まりといわれています。
当時は弓矢を使って邪気を追い払う儀式でしたが、次第に民間へ広がるにつれて、もっと手軽にできる“家の厄払い”として定着していきました。日本では季節の節目に邪気が入りやすいと考えられており、とくに冬から春へ切り替わる立春前日の節分は、一年の厄を祓うには最適な日とされてきました。
そのため、節分には「鬼=災いの象徴」を追い払い、新しい季節を清々しく迎えるための儀式が行われるようになります。平安時代にはすでに豆まきに似た風習が存在し、室町時代ごろになると、現在のような“鬼に豆を投げる”形式へ近づいていきました。豆という身近な食べ物を使うことで、誰でも簡単に災いを払えるという意味もあり、今日まで受け継がれています。
どうして「豆」をまくのか?その本当の理由
節分で使う豆には、大きく2つの意味が込められています。ひとつは、古くから穀物には“生命力”が宿ると考えられてきたこと。特に大豆は五穀のひとつで栄養価が高く、生命力の象徴として扱われていました。そのため、大豆をまくことで災いや邪気を封じ込め、家の中に清らかな気を呼び込むと信じられていたのです。
もうひとつは、「魔(ま)を滅(め)する=豆(まめ)」という語呂合わせ。これは江戸時代から広まったといわれ、豆が厄除けの縁起物として親しまれるきっかけにもなりました。
また、節分で使う豆は必ず「炒った豆」が基本。生の豆をまくと、拾い忘れから芽が出て「縁起が悪い=厄が生き返ってしまう」と考えられていたためです。こうした意味を理解すると、ただの行事と思っていた豆まきも、実は古くから続く日本の“魔除けの文化”そのものだとわかります。
「鬼は外、福は内」に込められた願いとは
豆まきの掛け声「鬼は外、福は内」は、単なるおまじないではなく、節分に込められた願いそのものです。
「鬼は外」で厄災や病気、不運といった“ネガティブな気”を家の外へ追い出し、「福は内」で幸福や豊かさ、健康を家に呼び込むという意味があります。鬼は“悪いものの象徴”とされていますが、昔話や民話で描かれる鬼には、災害や疫病、争いなど、人間の力ではどうにもできない恐ろしさへの畏れが重ねられていました。
節分は、そうした“目に見えない不安”を豆という身近な食べ物に託し、手を動かして追い払うことで心まで軽くする、いわば精神的な儀式の役割も担っています。また、地域によっては掛け声が異なることもあり、「福は内、鬼も内」と唱える神社もあります。
これは“鬼=悪”ではなく、人を導く存在として迎え入れる考え方があるためです。掛け声の違いからも、地域ごとの信仰や文化が感じられます。
豆まきの漢字に込められた意味
「豆まき」という言葉に使われる漢字には、古代から受け継がれる深い意味が詰まっています。
「豆」は、食料としての象徴にとどまらず、魔除けや厄払いの力を持つ特別な存在と考えられてきました。その背景には、大豆が生命力や繁栄を象徴する五穀の一つである点が挙げられます。
一方、「まき」は「撒く」と書かれることが多く、この漢字は「広範囲に散らす」という行為を表します。豆を家中に撒く行為は、家全体を清め、邪気を払う厄除けの力を広げる意味を持つのです。
さらに、「豆」の音読み「まめ」には「魔目(まめ)」という言葉遊びが隠されており、「魔を滅する」という願いが込められています。この言葉遊びは、日本独自の文化的感性を表すものです。
現代でも「豆まき」という行事を通じて、家族の安寧や新しい季節への期待を込めた祈りを体現しているのです。
節分の豆まきはどんな時間帯に行うのが良い?
豆まきの適切な時間帯や日付は、節分の歴史や地域ごとの習慣に深く関わっています。
年ごとに変わる節分の日付や、「夜に行う理由」、さらには地域ごとの違いについても詳しく解説します。今年の節分を正しく行う参考にしてください。
豆まきはいつ頃するのがベスト?
節分の豆まきは、「夕方から夜」に行うのが最も良いとされています。というのも、豆まきは“家に入ろうとする邪気を追い払う儀式”であるため、邪気が活動しやすいと考えられていた日の暮れどきが最も理にかなっているからです。
昔の日本では、夕方から夜にかけては目に見えない存在が現れやすいとされ、人々は火を灯して厄を避けたり、家の戸締まりを念入りにしたりしていました。その流れを受けて豆まきも「日没以降」が習わしになっていきます。
また、家族全員が揃いやすい時間帯に行えるのも夜のメリットです。豆まきは本来“家族全員で厄を払う儀式”であり、誰かひとりだけで行うよりも、みんなで声を出して盛り上がりながら行うことで、一年間の無病息災を祈る意味が深まります。
もちろん、絶対に夜でなければダメというわけではなく、家庭の生活リズムに合わせて夕方や日中に行っても構いませんが、伝統的な意味合いを大切にしたいなら、やはり日が落ちてからの時間帯がおすすめです。
節分の豆まきを夜にする理由とは
節分に豆まきを夜に行うのは、邪気が出入りしやすいと考えられていた“丑寅(うしとら)の方角=鬼門”と関係があります。昔の人は、日が暮れて暗くなると、鬼や魔物のようなよからぬ気が活発になると信じていました。
そこで、夜の時間帯に豆をまき、災いを家の外へ追い出すことで、一年の厄を払うという習わしが生まれました。「鬼は外、福は内」と大きな声で唱えるのも、悪いものを寄せつけないための“結界の言葉”としての役割があります。
さらに、夜は家族全員が集まりやすく、共同で行うことで“家の結界を強める”という意味もこめられています。昔は祖父母から孫へ伝統を伝える大切な時間でもあり、節分の豆まきを通して季節の移り変わりや家族のつながりを確認する行事になっていました。
現代では仕事や生活スタイルの関係で難しい場合もありますが、できれば日没後、夕食前後の落ち着いた時間に行うと、より伝統的な節分の雰囲気を楽しめます。
地域ごとに異なる豆まきの時間帯と豆まきの日が変動する理由
豆まきをする時間帯は地域によっても異なります。一般には「夜」が多いものの、北海道や東北の一部地域では、早朝に豆まきをする習慣があります。これは“日の出とともに悪いものが消える”という考え方や、“福を朝一番に招く”という風習から生まれたもの。
さらに、神社や寺院では節分祭として昼間に豆まきを行うことも多く、地域ごとの個性や歴史が反映されています。また、商店街などでは昼間にイベントとして豆まきを行うこともあり、地域文化や生活スタイルによって時間帯が柔軟に変化しています。
こうした違いを知ることで、自分たちの豆まきが持つ意味をより深く理解できるでしょう。
そして実は、節分は毎年2月3日とは限りません。立春の前日が節分とされるため、太陽の動きを基準にする暦のズレによって、年によっては2月2日や2月4日になることがあります。
これは、地球の公転周期のわずかなズレを調整するために“節気の日付がずれる”ためです。「節分の日が変わるのは間違いじゃないの?」と思うかもしれませんが、むしろ自然に合わせた暦としては正しい動きなのです。
※2026年の立春は2月4日(水)であるため、その前日の2月3日が節分となります。
節分の豆まきの正しいやり方

豆まきの手順や掛け声、必要な道具など、正しい豆まきの方法を詳しくご紹介します。
家族みんなで楽しみながら厄払いと福を招くためのポイントも解説。伝統行事を自宅でしっかり取り入れるために、ぜひ参考にしてください。
節分の豆まき、正式な手順と掛け声の仕方
節分の豆まきには、実は昔から伝わる“正式な手順”があります。とはいえ構えるほど難しいものではなく、順番を意識するだけでしっかりと意味のある豆まきになります。まず、豆まきに使う豆は必ず「炒った大豆(福豆)」を用意します。生の豆は発芽する可能性があり、“邪気が芽を出す”と考えられていたためNGとされてきました。
家族の代表として「年男・年女、または家長」が豆をまくのが本来の形ですが、現代では誰がまいても問題ありません。豆をまく順番は“玄関 → 窓 → ベランダ → 家の奥の順”が一般的で、外に向かって「鬼は外!」、室内に向かって「福は内!」としっかり声に出します。掛け声は悪いものを追い払い、福を呼び込む“言霊”の意味があるので、小声ではなくハッキリと言うのがポイントです。
家の外に豆をまく際は、本来なら外にまいた豆は掃除せずそのままにしておく習慣もありますが、衛生的に難しい場合は、外には象徴的に少しだけまき、残りは家の中でまく形にしてもOKです。最後に、家族全員でまいた豆を集め、歳の数だけ豆を食べることで、一年の無病息災を祈ります。この一連の流れを行うだけで、節分がぐっと本格的になります。
食べる豆の数は年齢?その意味と理由
節分の豆まきといえば、年齢の数だけ豆を食べる習慣があります。「年の数なんて多くて食べられない…」という声もありますが、これはただの風習ではなく、一粒一粒にしっかりと意味が込められています。
昔から大豆は“穢れ(けがれ)を払う力がある”とされ、神事にもよく用いられてきました。年齢の数だけ豆を食べるのは「年の数だけ福を体に取り込む」「これからの一年の健康を願う」という願掛けの意味があります。
地域によっては「年齢+1個」食べるところもあります。この1つは“新しい一年を無事に過ごすための福”を象徴しています。つまり、ただ年齢の分だけ食べるのではなく、“これからの一年に向けたお守り”として豆を食べるわけです。
もし年齢分を食べるのが辛い場合は、少量にアレンジしても問題ありません。最近では「福茶」といって、福豆をお湯に浮かべて飲む方法も人気です。これなら無理なく豆の意味を取り込めますし、お茶としても美味しくいただけます。
大切なのは“豆を食べる行為を通じて、新しい一年を健やかに過ごしたいと願う心”であり、食べる数に神経質になる必要はありません。
自宅で豆まきをする場合の正しい方法とは?
自宅で気軽に豆まきをするときは、家の間取りや生活スタイルに合わせて“やりやすい形にアレンジする”のがコツです。まずは落ちた豆の掃除を楽にするために、新聞紙やレジャーシートを敷いておくと後片づけがぐっとラクになります。小さなお子さんがいる家庭では、豆の代わりに「豆パック」「落花生」を使う地域も多く、これは片付けや誤飲防止の観点から合理的な方法です。
豆をまく順番は、外に通じる場所からスタートするのが基本です。玄関や窓に向かって「鬼は外!」とまき、次に室内へ「福は内!」と呼び込みます。このとき、鬼役を家族の誰かが担当して、豆を軽く当てる“遊び方式”も子どもに人気で、家庭行事としての楽しさがアップします。
まいた豆の処理に悩む家庭では、“象徴として外に向かって少量まき、残りは室内で行う”方法が主流になっています。室内でも家具の下に入り込まないように注意し、軽く投げる程度で十分です。
豆まきが終わったら、歳の数だけ福豆を食べて締めくくります。飲み込みにくい場合は、先ほど紹介した「福茶」にする方法もおすすめです。無理なく続けられる形で、家族の健康と福を祈るのが、現代の豆まきの“正しいあり方”といえます。
豆まき後には恵方巻きの丸かぶり!

節分行事の締めくくりとして人気の恵方巻き。由来や食べ方のルール、2025年の恵方の方角も解説します。
節分の行事は豆まきの他に門守り、恵方巻きの丸かぶりがあります!「門守り」は家の戸口に、ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺しておくと、鬼が近づくことができないというもの。
そして「恵方巻きの丸かぶり」は節分の夜にその年の恵方に向かって願い事をしながら、太巻き寿司を一本丸ごとを無言で食べると良い一年になる、というものです。
恵方巻きの由来と節分との関係
恵方巻きは、節分の日にその年の“恵方”を向いて丸ごと1本を食べると縁起が良いとされる風習ですが、実は比較的新しい習慣です。もともとは大阪周辺の商人が商売繁盛を願って食べたのが始まりと言われ、昭和以降に広がり、2000年代にコンビニの販促によって全国的に知られるようになりました。
古くから続く「鬼を追い払い、福を招く」という節分の行事と組み合わさり、“福を食べて取り込む”という意味合いで親しまれるようになったものです。
恵方とは、歳徳神(としとくじん)という福の神がいる方向のことで、その年によって変わります。年に一度しかない恵方に向かって黙って食べるのは、「願いごとが叶いますように」と神様に集中するため。途中で喋ると運が逃げる、といわれているのもそのためです。
恵方巻きが節分に定着した理由はもうひとつあり、「福を巻き込む」という巻き寿司の形が縁起の良い象徴としてぴったりだったこと。七福神にちなんだ具材を入れるなど、地域によってアレンジもさまざまです。豆まきの後に恵方巻きを食べるのは、邪気を払ったあとにしっかり福を体に取り込むという流れで、節分行事としてとても理にかなっているのです。
恵方巻きを食べる際の正しい方法と仕方
恵方巻きを縁起よく食べるためには、ちょっとしたルールがあります。ただの巻き寿司ではなく“福を呼び込む儀式”ですから、ポイントを押さえるだけで節分気分がぐっと高まります。まず1つ目は「恵方を向く」こと。今年の恵方は毎年決まっており、その方向を向きながら無言で食べます。恵方は方位磁石アプリなどで簡単に調べられます。
2つ目は「丸かぶりする」こと。包丁で切らずに食べるのは、「縁を切らない」「福を切らずに丸ごと取り込む」という意味があります。とはいえ、小さなお子さんや高齢の方には丸かぶりが難しい場合もあるので、安全面を考えて切って食べるアレンジもOKです。
3つ目は「願いごとをしながら黙って食べる」。途中で喋ると運が逃げるとされているため、恵方巻きを食べている間だけは無言で集中します。願いごとは心の中で思い浮かべるだけで十分です。
最近では海鮮巻きや焼肉巻き、サラダ巻きなどバリエーション豊富な恵方巻きが売られていますが、大切なのは“福を呼び込む気持ち”を持って食べること。家族で楽しく願いごとをしながら食べれば、それだけで節分の良い思い出になります。
今年の恵方の方角とその意味とは?
恵方とは、歳徳神(としとくじん)という“その年の福をもたらす神様”がいる方角のことを指し、毎年変わります。方角は「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の4パターンのいずれかで、干支に合わせて順番に巡っています。恵方の方向を向いて恵方巻きを食べるのは、神様のいる方向に向かって願い事を届け、福を呼び込むため。つまり“その年、最も運気の良い方角”と言えます。
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2026年の恵方は「南南東(やや南)」
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方位角でいうと、おおよそ北を0°としたとき「165°前後」
恵方の方角はコンパスアプリで簡単に確認できますが、方位は厳密でなく「おおよその方向」で問題ありません。神社の参拝のように、気持ちを向けることが大切で、数度ズレたところで運が逃げるということはありませんので安心してください。
恵方巻きを食べるときは、その方角を向きながら、ゆっくり願いごとを思い浮かべて食べるのが習わしです。家族で「今年の恵方はどっち?」と調べながら向きを揃えるだけでも、特別感と楽しさが生まれます。恵方巻きは新しい一年を気持ちよくスタートさせるためのイベントでもあるので、方角を確認しながら、家族みんなで運気を呼び込む時間を楽しんでください。
まとめ
節分の豆まきは、単なる季節イベントではなく、古くから「邪気を払い、福を呼び込む」大切な行事として受け継がれてきました。豆をまく理由や、夕方〜夜に行う意味を知ると、毎年の節分がぐっと味わい深くなります。また、地域によって豆まきの時間帯が違うことや、節分の日付が年によって変わる場合があることも、意外と知られていない興味深いポイントです。
豆まきの正しい手順を覚えておくと、家庭でもしっかり“福招き”ができますし、恵方巻きを食べる流れもより意味を感じながら楽しめます。恵方を向いて願いごとをしながら丸かぶりすることで、一年のスタートを縁起よく迎えることができます。
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