銀杏の魅力とは?
銀杏(ぎんなん)は、秋の味覚として親しまれている食材です。独特の香りやほのかな苦味、ほくほくとした食感があり、茶碗蒸しや炊き込みご飯など、秋の料理にもよく使われます。
そんな銀杏には、カリウムやビタミン類、たんぱく質、食物繊維など、さまざまな栄養素が含まれています。一方で、一度にたくさん食べると中毒を起こすことがあるため、食べる量には注意が必要です。
この記事では、銀杏に含まれる栄養素やその働き、食べる量の考え方、注意点をはじめ、家庭でできる調理方法や保存方法、料理への取り入れ方まで紹介します。
銀杏の栄養と効能とは?

銀杏(ぎんなん)は、長寿の木として知られるイチョウの実で、10月中旬から下旬にかけて熟し、
スーパーで見かける殻付きの種子が食用部分となります。
銀杏は小さな実ですが、カリウムやビタミン類、たんぱく質、食物繊維など、さまざまな栄養素を含んでいます。秋の味覚としておいしく食べられるだけでなく、普段の食事で不足しやすい栄養素を取り入れる食材としても楽しめます。
ここでは、銀杏に含まれる主な栄養素と、それぞれが私たちの体でどのような働きをしているのかを見ていきましょう。
エネルギー代謝を支えるビタミンB群
銀杏には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などのビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は、食事から摂った栄養素をエネルギーとして利用するなど、体のさまざまな働きに関わる栄養素です。
特にビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える働きに関わっています。毎日の食事でしっかり栄養を取りたいときには、こうしたビタミン類も意識したいですね。
銀杏を食べれば疲労がすぐに取れるというわけではありませんが、ビタミンB群を含む食品のひとつとして、普段の食事に取り入れることができます。
カリウムで体内の水分・塩分バランスをサポート
銀杏にはカリウムが比較的多く含まれています。文部科学省の食品成分データベースでは、生の銀杏100gあたり710mgのカリウムが含まれています。
カリウムは、体内のナトリウムとのバランスを保つ働きに関わる重要なミネラルです。
そのため、カリウムを含む食品は、塩分の摂り過ぎが気になるときの食生活を考えるうえでも役立ちます。
「銀杏を食べればむくみが改善する」というように単純に考えるのではなく、普段の食事全体で塩分や野菜などのバランスを意識しながら取り入れるのがおすすめです。
ビタミンEなど抗酸化に関わる栄養素
銀杏にはビタミンEも含まれています。ビタミンEは、体内の脂質の酸化を防ぐ働きを持つ栄養素として知られています。生の銀杏100gには、α-トコフェロールが2.5mg含まれています。
こうしたことから、銀杏の栄養について調べると「美容」や「アンチエイジング」と関連づけて紹介されることがあります。
ただし、銀杏を食べることだけで肌のシミやしわを防げるという意味ではありません。ビタミンEなどの栄養素を、毎日の食事の中でバランスよく摂ることが大切です。
食物繊維やミネラルも含まれている
銀杏には、たんぱく質や食物繊維のほか、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルも含まれています。生の銀杏100gあたり、食物繊維は1.6g、マグネシウムは48mg、リンは120mg、鉄は1.0mg、亜鉛は0.4mgです。
食物繊維は、おなかの健康を保つうえで大切な栄養素です。また、鉄や亜鉛、マグネシウムなども、体のさまざまな機能を支えるために必要なミネラルです。
銀杏だけでこれらの栄養素を補おうとする必要はありませんが、旬の食材として料理に加えることで、食卓に変化をつけながらさまざまな栄養素を摂ることができます。
銀杏は「体にいいからたくさん食べる」という食材ではなく、食べる量に気をつけながら、季節の味覚として楽しむのがポイントです。
毎日の食事で健康を意識したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 美容と健康に効く食材まとめ|毎日取り入れたい自然派フード10選
銀杏は何個まで?食べ過ぎに注意したい理由
銀杏は秋の味覚としておいしく楽しめる一方、食べる量には注意が必要な食材です。
銀杏には、4′-メトキシピリドキシン(ギンゴトキシン)と呼ばれる成分が含まれており、一度に大量に食べると中毒を起こすことがあります。特に子どもは注意が必要なので、「栄養があるからたくさん食べよう」と考えないことが大切です。
銀杏は何個まで食べていい?
「銀杏は何個までなら絶対に安全」という一律の個数はありません。
以前は「大人なら5~10粒、子どもなら3粒」などの数字が目安として紹介されることもありましたが、これを安全な上限として考えるのは適切ではありません。
食品安全委員会が紹介している資料では、銀杏に含まれる4′-メトキシピリドキシンについて、健康影響に基づく一律の指標値は設定されていません。また、調理した銀杏を一度に10~50粒食べたことによる急性中毒の可能性も報告されています。
そのため、個数だけで「ここまでは大丈夫」と判断するのではなく、一度にたくさん食べないことを基本に、少量を楽しむようにしましょう。
銀杏を食べ過ぎるとどうなる?
銀杏を食べ過ぎると、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れることがあります。さらに、症状が重くなると、けいれんや意識障害などにつながる場合もあります。
症状は、銀杏を食べてから比較的早い時間に現れることがあり、食品安全関係情報では、通常1~12時間後に症状が出るとされています。
特に子どもは銀杏中毒が起こりやすいとされているため、子どもが食べる場合は大人が量に気をつけてあげることが大切です。また、高齢者や体調がすぐれない人も、より注意が必要とされています。
銀杏を食べるときに注意したいこと
銀杏は、適切に調理しておいしく食べることができますが、加熱すれば食べ過ぎても大丈夫というわけではありません。
銀杏に含まれる4′-メトキシピリドキシンは比較的熱に強いため、加熱だけですべてなくなるものではありません。炒ったり、ゆでたりして食べやすくすることは大切ですが、それとは別に、食べる量そのものにも気をつけましょう。
また、生の銀杏をそのまま食べるのではなく、食べるときは適切に調理することも大切です。大量に食べたあとに吐き気や嘔吐、腹痛、けいれんなどの異常があった場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
銀杏は「体にいいからたくさん食べる」というものではなく、季節の味覚として、量を意識しながら楽しむ食材と考えるとよいでしょう。
銀杏のおいしい調理方法と食べ方
銀杏は、炒ったり、ゆでたり、電子レンジを使ったりと、家庭でもいろいろな方法で調理できます。
ほくほくとした食感や独特の香りを楽しめるのも、銀杏の魅力です。まずはシンプルな調理法を覚えておくと、茶碗蒸しや炊き込みご飯など、いろいろな料理にも使いやすくなります。
銀杏の炒り方

銀杏の風味をそのまま楽しみたいなら、炒り銀杏がおすすめです。
殻付きの銀杏をフライパンに入れ、弱めの火で転がしながらじっくり炒ります。殻に割れ目が入ってきたら火を止め、少し冷ましてから殻をむきます。
仕上げに少量の塩を振ると香ばしさが引き立ち、銀杏ならではのほろ苦さとほくほくした食感を楽しめます。
お酒のおつまみにするのはもちろん、秋の味覚をシンプルに味わいたいときにもぴったりです。
塩ゆで銀杏
やわらかく、ほくほくとした食感を楽しみたいときは、塩ゆでも手軽です。
殻を割って中身を取り出し、薄皮をつけたまま塩を加えた熱湯で数分ゆでます。ゆで上がったら水気を切り、そのまま塩を少し振って食べてもおいしくいただけます。
塩ゆでした銀杏は、茶碗蒸しや炊き込みご飯などの料理にも使えます。下ごしらえしておけば、料理に加えるときにも便利です。
電子レンジで簡単に調理する方法
時間がないときは、電子レンジを使う方法もあります。
農林水産省では、殻付きの銀杏を紙の封筒に入れて口を折り、600Wで30秒ほど加熱する方法が紹介されています。銀杏の数や電子レンジによって加熱具合が変わるため、様子を見ながら調整しましょう。(maff.go.jp)
殻付きの銀杏は、加熱中に中の蒸気で殻が破裂することがあります。電子レンジを使うときは、紹介されている方法に沿って加熱し、加熱しすぎないよう注意してください。
手軽に調理できるので、少量だけ食べたいときや、料理に使う分を下ごしらえしたいときにも便利です。
銀杏は、調理方法によって香りや食感が少しずつ変わります。炒り銀杏の香ばしさ、塩ゆでのほくほく感など、自分の好みの食べ方を見つけるのも秋の楽しみのひとつですね。
秋の味覚をもっと楽しみたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 秋冬の味覚を楽しもう!旬の食材と季節を感じる暮らしのヒント
銀杏の保存方法|冷蔵・冷凍のポイント
銀杏がたくさん手に入ったときは、すぐに食べる分と保存しておく分に分けておくと便利です。
銀杏拾いなどで果肉のついた実を扱う場合は、果肉に触れるとかぶれることがあるため注意しましょう。下処理をするときはゴム手袋を使い、果肉を水の中で取り除いてから、殻付きの状態でしっかり乾燥させます。
殻はかなり硬いため、割るときはペンチなどを使い、手を傷つけないように気をつけてください。
冷蔵保存
近いうちに使う銀杏は、冷蔵保存が便利です。
銀杏は乾燥しすぎると実が硬くなり、反対に湿ったまま保存するとカビが生える原因になります。そのため、保存するときは乾燥と湿気の両方に注意しましょう。
密閉容器に入れ乾燥を防ぎながら保存すれば、1週間から10日程度美味しさを保つことができます。JAあいち経済連では、銀杏を適度に湿らせて袋に入れ、チルド室で保存する方法が紹介されています。
品種や保存状態によっても変わるため、保存中は実の状態を確認し、カビや傷みが見られたものは食べないようにしましょう。
冷凍保存
長く保存したい場合は、冷凍保存が向いています。
殻を割って銀杏を取り出し、ゆでてから冷凍しておくと、使いたい分だけ取り出して料理に利用できます。薄皮が気になる場合は、ゆでながらこすると取りやすくなります。
JAあいち経済連では、ゆでた銀杏を冷凍することで、1年ほど鮮やかな色を楽しめる保存方法が紹介されています。家庭の冷凍庫では保存状態も変わるため、長期間入れっぱなしにせず、状態を確認しながら使うと安心です。
冷凍しておけば、茶碗蒸しや炊き込みご飯などに使うときも便利です。旬の時期にたくさん手に入った銀杏は、食べる分だけ残して、残りを冷凍しておくと秋の味覚を長く楽しめます。
※旬の食材をおいしく楽しむコツは、季節ごとの食材選びにも共通しています。
▶ 春の食材一覧|季節の変わり目に暮らしに取り入れたい旬の食の考え方
銀杏を使ったおすすめレシピ

銀杏は、そのまま炒ったりゆでたりして食べるだけでなく、料理に加えることで秋らしい味わいを楽しめます。
ほくほくとした食感や鮮やかな色は、卵料理や炊き込みご飯、野菜料理などにもよく合います。ここでは、家庭で取り入れやすい銀杏料理を紹介します。
銀杏の茶碗蒸し
銀杏を使った料理といえば、茶碗蒸しを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
なめらかな卵液の中に銀杏を入れると、ほくほくとした食感がアクセントになります。殻をむいた銀杏を数粒加えて蒸すだけなので、特別な材料をたくさん用意しなくても作りやすい料理です。
銀杏の緑色が加わることで見た目にも季節感が出るので、普段の食卓だけでなく、おもてなしにも向いています。
銀杏と野菜の炒め物
銀杏は、旬の野菜と一緒に炒めてもおいしくいただけます。
にんじん、ピーマン、しいたけなど、好みの野菜と殻をむいた銀杏を合わせ、油で炒めて塩やしょうゆなどで味付けします。
銀杏のほくほくした食感と野菜の歯ごたえを一度に楽しめるので、いつもの炒め物に季節感を加えたいときにもぴったりです。
銀杏入り炊き込みご飯
秋の味覚を楽しみたいときには、銀杏入りの炊き込みご飯もおすすめです。
お米と銀杏を一緒に炊き込むと、銀杏の風味がご飯になじみ、ほのかな香りと独特の食感を楽しめます。
鶏肉やきのこ、にんじんなどを加えれば具だくさんにできるので、秋の食材を組み合わせた季節の炊き込みご飯として楽しめます。
銀杏を入れすぎず、ほかの具材とのバランスを見ながら加えると、銀杏の風味もしっかり感じられます。
まとめ
「○○が体にいい」とテレビ番組などで紹介されると、翌日にはスーパーからその食材が売り切れてしまうこともありますよね。
食べ物の栄養や体への働きが気になるのは、昔から身近な食材を食卓に取り入れながら、元気に過ごすための知恵を大切にしてきたからかもしれません。
銀杏には、カリウムやビタミンB群、ビタミンE、ビタミンC、食物繊維など、さまざまな栄養素が含まれています。
一方で、銀杏には食べ過ぎによる中毒の注意点もあります。特に子どもは注意が必要なので、「栄養があるからたくさん食べる」のではなく、食べる量を意識することが大切です。
炒り銀杏や塩ゆでにしたり、茶碗蒸しや炊き込みご飯に加えたりと、銀杏の楽しみ方はいろいろあります。
保存方法も工夫しながら、食べる量に気をつけて、秋ならではの味や香りを楽しんでみてください。
季節の食材をおいしくいただくことも、毎日の暮らしを楽しむ小さなひとつです。
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