建国記念の日って聞くと、なんとなく“昔のことを思い出す日”くらいのイメージで、どう過ごせばいいのか迷う人も多いはず。でも実は、日本がどんなふうに形づくられてきたのかをちょっとだけ見つめ直す、ゆるめの記念日なんです。
家族で話すきっかけになったり、歴史スポットにお出かけしてみたり。この記事では、由来から過ごし方までやさしくまとめているので、祝日をもっと身近に感じたい人はぜひ参考にしてみてください。
建国記念“の”日とは?まずは簡単に説明
建国記念の日は、日本という国が始まったことを静かにお祝いし、これまでの歩みを思い返す日です。神武天皇の即位を起点とする「建国のはじまり」にまつわる日として定められていますが、歴史的な出来事そのものを祝う日というよりも、“日本ができたこと”を丁寧に振り返る意味合いが強め。
家族で日本の歴史や文化に触れたり、子どもたちと「この国がどう作られてきたのか」を話すきっかけにもなる、やわらかい記念日です。
日本の建国を祝う日として制定された国民の祝日
建国記念の日は、「日本という国ができたことをお祝いし、国のはじまりに思いを寄せる日」として定められた国民の祝日です。とはいえ、難しく考える必要はなく、「日本の歴史や成り立ちについて、少しだけ意識を向けてみる日」というイメージで大丈夫です。実際、多くの人が特別な行事をするわけではなく、家族で話題にしたり、ニュースや学校で軽く触れる程度の、穏やかな祝日として受け止められています。
この日が大切にされている背景には、「国がどのように形づくられたのか」という歴史的な視点があります。ただし、建国記念の日は政治的・思想的な意味合いを持たせるためのものではなく、祝日法に基づいて“歴史に興味を持つ機会”として設けられています。そのため、宗教的な儀式や義務があるわけではありませんし、特定の考え方を強制される日でもありません。
国の始まりを祝う祝日は世界の多くの国にも存在し、日本の建国記念の日もそのひとつ。日本では2月11日に制定されており、冬の静かな時期に、歴史や文化を見つめ直すきっかけとなっています。近年では家族と過ごす時間に、子どもへ日本の歴史をやさしく伝える習慣に利用する人も増えています。
「建国記念日」ではなく「建国記念“の”日」になった理由
名前を見て、「どうして“建国記念日”じゃないんだろう?」と感じたことはありませんか? この“の”が入っている理由には、ちょっとした背景があります。実は、日本がいつ、どのように “建国された日” なのかを、ひとつに決めるのはとてもむずかしいんです。歴史の教科書にも「この日が日本の誕生日です」と明確に書かれているわけではありませんよね。
そこで祝日をつくるとき、「○年○月○日に建国しました!」と断定するのではなく、あくまでも“日本の建国をしのぶ日”として穏やかに祝う形にしよう、という考え方が取り入れられました。その結果、生まれたのが「建国記念の日」という名前です。
“記念日”と断言しないことで、歴史的な見解のちがいを尊重しつつ、幅広い人が受け入れやすい祝日にしたい、という思いが込められているんですね。
言葉としてはほんのひと文字の違いですが、実はとても配慮のあるネーミング。誰かの考えだけに寄りすぎず、政治的な意味を持たせないための工夫でもあります。ちょっとした言葉遣いからも、祝日を作るときの慎重さや、みんなが気持ちよく過ごせる日を目指した姿勢が感じられます。
建国記念の日の由来
建国記念の日は、明治時代に「紀元節」として始まりましたが、戦後にいったん廃止され、その後の議論を経て1966年に現在の形で復活しました。政治的に扱われやすかったこともあり、祝日に戻るまでには長い時間がかかった背景があります。
ただ、今の建国記念の日は特定の思想を押しつけるためのものではなく、「国の誕生を素直に祝う日」という、より中立的で穏やかな目的に整理されています。
神武天皇の即位日(旧暦:紀元前660年)に由来
建国記念の日が2月11日になっている背景には、日本の神話に登場する「神武天皇」の即位が関係しています。といっても、これは“昔の人々が大切にしてきた物語と歴史観に基づく日”であり、現代の私たちが知っている具体的な年代とは少し違う部分もあります。
日本書紀には、神武天皇が即位したのは紀元前660年の旧暦1月1日と記されています。この日付をもとに、明治時代には「日本という国が始まった日」として祝われるようになりました。
ただ、神武天皇の実在や即位の正確な年代については、現在ではさまざまな考え方があります。そのため、戦後に祝日を復活させる際は、歴史的な事実を断定するかのような表現は避け、「建国そのものをお祝いする日」という広い意味を持たせる形にあらためられました。
それでも、この日が神武天皇の即位にちなんでいること自体は、祝日の成り立ちを知るうえで大切なポイントです。日本の始まりに想いを寄せるという、昔から続く価値観を今日に伝える“由来”として、静かに受け継がれているんですね。
戦後に復活するまでの経緯(1948年 → 1966年)
建国記念の日は、いまでは当たり前のように2月11日の祝日として定着していますが、実は一度なくなり、戦後にあらためて制定されたという経緯があります。もともと明治時代には、この日は「紀元節(きげんせつ)」として祝われていました。日本の建国をしるす大切な日として、多くの人に親しまれていたものです。
しかし、第二次世界大戦後、日本が新しい平和憲法のもとで再出発した際、戦前の価値観や国家行事を見直す流れがありました。そのなかで、紀元節は1948年にいったん廃止されます。
とはいえ、「国のはじまりを祝う日がなくなるのは寂しい」という声は根強く、長い議論が続きました。最終的には、歴史的事実の断定や政治的な意味づけは避け、「建国されたこと自体を素直にお祝いする日」として新しく制定されることになります。
そして1966年、名称を『建国記念の日』と変えて祝日として復活しました。宗教的・政治的な色合いを持たせず、どんな立場の人でも受け入れやすい形に整えられたのが大きな特徴です。現在の建国記念の日は、こうした慎重な検討を経て生まれた祝日なんですね。
建国記念の日には何をする?過ごし方の例
建国記念の日は、特別なイベントがなくても楽しめる祝日です。最近は、家族で歴史スポットを訪れたり、神社巡りをしたり、日本文化に触れる過ごし方が増えています。子どもと一緒に昔話を読んだり、地域の博物館へ出かけたりするのも人気。
国の歩みを知ると、暮らしの背景にも気づきが生まれて、ちょっと視野が広がる感じがあります。忙しい日常のなかで、ゆるく日本のルーツに触れる時間にぴったりの日です。
日本の歴史や文化に触れる
建国記念の日は、「日本がどのように成り立ってきたのか」をゆっくり考えるきっかけとして選ばれている祝日です。最近では、家族で歴史や文化に触れる時間をつくる人が増えていて、ただ休むだけの日とは少し違う過ごし方が広がっています。たとえば、博物館や歴史資料館へ足を運んだり、子ども向けの歴史番組を一緒に見たり…。むずかしそうに感じるテーマでも、家族で話しながら触れていくと、案外やさしく理解できるものです。
「日本はどうやって始まったの?」「昔の人はどんな暮らしをしていたの?」といった素朴な疑問を親子で共有すると、自然とコミュニケーションが増えて、小さな学び時間になります。最近は、自治体やオンラインでも子ども向けの歴史クイズやワークショップが行われることがあり、気軽に参加できるのも魅力です。
もちろん、特別なことをしなくても、家で日本の行事や四季の文化について調べてみるだけでもOK。改めて自分の暮らしのルーツに目を向けることで、日本文化の豊かさに気づける日になります。
神社参拝をする人も多いが、宗教的義務ではない
日本の風習として“感謝の気持ちを表す場所に足を運ぶ人が多い”という自然な流れに近いものです。新年ほど混雑しないため、ゆっくり参拝できる時期というのも人気の理由の一つ。家族で「今年も健やかに過ごせますように」と静かに祈る時間を楽しむ人もいます。
また、参拝というと宗教的なイメージが強く感じられるかもしれませんが、建国記念の日だからといって宗教的な義務や特別な儀式が必要になるわけではありません。むしろ多くの人にとっては「日本の歴史を思いながら、心を整えるために神社という場所を選んでいる」という感覚に近いはずです。おみくじを引いたり、季節のお守りを見たりと、軽いお散歩のような楽しみ方もできます。
もちろん、参拝にこだわらなくても、家でゆっくり過ごすだけでも十分。歴史や文化に少しだけ思いを寄せる――それだけで建国記念の日らしい過ごし方になります。
子ども向けの学び
建国記念の日は、小さな子どもにもやさしく日本の歴史に触れられるきっかけになる日です。ただ「むずかしい話をしなきゃ」と身構える必要はありません。家庭なら、“日本という国ができたことをお祝いする日なんだよ”という、シンプルな一言から十分スタートできます。学校でも、歴史そのものより「国のはじまりを大切にする日」という感覚で伝える場面が増えており、子どもがイメージしやすい内容にかみ砕いて説明されています。
たとえば、「昔の人はこの国が始まった日を大切にしてきたよ」「今の私たちが安心して暮らせるのも、長い歴史があってこそなんだよ」といった、生活とつながる視点を加えると、ぐっと理解しやすくなります。家庭では、図鑑や子ども向け歴史本の“国の成り立ち”のページを一緒に見るだけでも良い学びの時間になります。難しい神話や政治的な話まで踏み込む必要はなく、あくまで“日本という国の誕生日をお祝いする日”という雰囲気を伝えることが大切です。
また、子どもが興味を持ちやすいのは「昔の暮らし」「昔の道具」「昔のごはん」などの身近なテーマ。歴史=難しいもの…というイメージにならないよう、ワクワクする導入で触れさせてあげると、行事としての建国記念の日がより親しみのあるものになります。
建国記念の日にまつわる素朴な疑問
なぜ2月11日なの?(建国記念の日の制定基準)
建国記念の日が「2月11日」と決まっている理由は、日本の建国にまつわる“象徴的な日”として、この日が選ばれたためです。もともとは『日本書紀』に記された 神武天皇が即位した日 が由来であり、旧暦では紀元前660年の1月1日とされています。これを現在の暦に換算したとき、最も近い日付として採用されたのが今の2月11日です。
もちろん、神話や古代の歴史は資料が少なく、細かい部分ははっきりしないところもあります。だからこそ、この日は「実際の歴史を確定させるための日」ではなく、“国が始まったことをお祝いする象徴の日”として位置づけられています。同時に、特定の政治的な立場に寄りすぎないよう配慮されており、法律でも「建国をしのび、国を愛する心を養う日」とシンプルに定義されています。
戦後の祝日制度が整えられた際、日付をどうするかは大きな議論となりましたが、最終的には国の成り立ちを象徴する日として2月11日が復活する形に。日本人にとっては、ちょうど冬が終わりに向かい “一年の節目を感じやすい時期” でもあるため、落ち着いた気持ちで歴史に目を向けられる日付とも言えます。
こうした背景から、2月11日は「建国の精神に思いを寄せる日」として、長く親しまれる祝日となっています。
海外にも“建国記念日”はある?比較してみる
建国記念の日は日本独自の祝日ですが、海外にも“国の始まりを祝う日”は多く存在します。アメリカなら7月4日の「独立記念日」、フランスは7月14日の「パリ祭(革命記念日)」、韓国には「三・一節」や「光復節」などがあり、どの国もそれぞれの歴史や価値観に基づいた記念日を大切にしています。日本と大きく異なるのは、多くの国では“独立”や“革命”など、明確な歴史的事件が記念日の起点になっている点です。
一方、日本の建国記念の日は神話時代の出来事を象徴として選んでいるため、他国のように「○○から独立した日」といった具体的な歴史資料とは違う柔らかい位置づけになっています。そのぶん政治色が強くなりすぎないよう配慮され、「建国をしのび、国を愛する心を養う日」というシンプルな目的が基本。日本では歴史的議論より、文化や伝統を振り返る日として受け止められることが多いのも特徴です。
また、多くの国の建国記念日は盛大なパレードや花火などのお祝いムードがありますが、日本の場合は比較的静かで落ち着いた過ごし方が一般的。家族で歴史にまつわる番組を見たり、神社に参拝したりと、“ありがとう”の気持ちを小さく育てるような文化が根づいています。
海外と比べてみると、日本の建国記念の日は派手さよりも「国の歩みにそっと思いを寄せる日」として独自のスタイルがあると言えます。
休みの意味や義務はあるの?
建国記念の日は「国民の祝日」の一つとして定められており、この日は多くの人が仕事や学校がお休みになります。しかし、「何か特別なことをしなければならない」という義務は一切ありません。祝日の目的はあくまで“国の成り立ちに思いを寄せるきっかけをつくること”であり、強制的に行動を求められるものではない点が大きな特徴です。
そのため、人によって過ごし方はさまざま。家族でゆっくり過ごす人もいれば、歴史に関する番組を観たり、近所の神社に軽く参拝したり、あるいは単純に「休日」としてリラックスする人もいます。どれも間違いではなく、自分らしく過ごせばOKです。
また、建国記念の日は政治的・宗教的な義務づけを避けるため、法律上もシンプルに「建国をしのび、国を愛する心を養う日」とだけ書かれています。これは、特定の思想に偏らず、誰もが気軽に受け止められる祝日にしたいという意図があるとされています。
子どもに説明する際も、「日本という国が始まったことを、みんなでゆっくり振り返る日なんだよ」と伝える程度で十分。難しい歴史や細かい議論を持ち込む必要はありません。気負わず、季節の節目のように自然に受け止められる祝日です。
行事や季節の文化をもっと知る
季節の行事をより深く楽しむために
建国記念の日は、日本の成り立ちに思いを向けるだけでなく、“季節の行事を楽しむきっかけ”にもなる祝日です。2月は節分や立春があり、暦の上では春の始まりにあたります。昔の人々は、季節ごとに行事を通して自然や文化に親しみ、暮らしを豊かにしてきました。その流れを知ると、建国記念の日も「国の歩みだけでなく、日本らしい四季の移りかわりを感じる日」として楽しめるようになります。
たとえば、節分で邪気を払ったり、ひな祭りに向けて桃の花を飾ったりと、日本文化は季節の変化と深く結びついています。これらの行事に軽く触れることで、今の時期がどんな意味を持つのか、昔の人はどう過ごしてきたのかが自然と見えてきます。ご家庭なら、子どもと一緒に「この行事はどんな意味があったんだろう?」と調べたり、お祭りやイベントを覗いてみるのもおすすめです。
また、最近は地域の伝統行事を紹介する施設や、季節の文化をテーマにした展示も増えています。建国記念の日はちょうど祝日なので、家族で出かけて日本ならではの文化に触れる絶好のタイミング。暮らしの中に小さく“日本の文化”を取り入れるだけで、日常がぐっと豊かになります。
暮らしに役立つ季節の知恵・豆知識
建国記念の日がある2月は、一年の中でも寒さが厳しく、空気が乾燥しやすい時期です。古くから日本では、季節ごとの気候に合わせた暮らしの知恵が受け継がれてきました。こうした豆知識を知っておくと、毎日の生活がちょっと快適になり、季節の移ろいをより実感することができます。
たとえば、冬の乾燥対策としては「室内の加湿」が基本ですが、加湿器がなくても洗濯物を部屋干しにしたり、やかんのお湯を沸かすだけでも湿度を上げることができます。また、体を温める食材としては、生姜・ねぎ・根菜類が昔から定番。味噌汁に少し生姜をプラスするだけで、体がぽかぽか温まり、冷え対策にもつながります。
さらに、季節行事と暮らしの知恵は密接に関係しています。たとえば節分の「豆まき」は、邪気を追い払うだけでなく、冬から春へ切り替わる時期に体調を崩しやすいことへの注意喚起という意味も含まれていたともいわれます。また、ひな祭りで飾る桃の花には“魔除け”の象徴という側面があり、春先の不調を跳ね返す願いも込められていました。
建国記念の日に関連する季節の豆知識を生活に取り入れることで、「ただの祝日」ではなく「この時期ならではの季節を感じる日」に変わります。行事や歴史に親しむのはもちろん、日々の小さな習慣を見直すきっかけにしてみてもいいですね。
まとめ
建国記念の日は、かしこまって祝うというよりも、日本の歩みをそっと振り返る穏やかな祝日です。難しい知識がなくても、家族で「日本ってどんな歴史をたどってきたの?」と話したり、神社や博物館をふらっと訪れたりするだけで、いつもの休日とは少し違う気づきが生まれます。忙しい毎日の中で、ほんの少しだけ“この国のルーツ”に触れてみる時間として楽しんでみてください。
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